最新のリソースを持つ広告会社の強み。顧客と地域の特性を理解して最適解を導き出す

同じ広告会社でも「地域が違えば、仕事の内容や顧客との関係は大きく異なる」と話すのは、デジタルマーケターを務める尾嶋と、コミュニケーションアドバイザーを務める鹿熊。東京で働いていた経験のある2人は、エリアの広告会社を「翻訳者」であり「何でも屋」とも表現します。

エリアの広告会社として顧客とどのように向き合い、仕事を進めていくのか、そして大広北陸ならではの仕事術について聞きました。

尾嶋健司

デジタルマーケター

コミュニケーション開発局 デジタルマーケティングチーム所属。神奈川県出身。法学部を卒業後、総合印刷会社の営業部門でキャリアをスタート。その後、企画部門にて新規事業開発及びマーケティングに従事。新型コロナウイルス感染症の拡大を機に配偶者の実家がある富山県へ移住。2022年、大広北陸に入社。移住前は富山と東京の2拠点生活をしていて運動から遠ざかっていたが、移住をきっかけに趣味の一つだったサッカーを再開。

鹿熊一成

コミュニケーションアドバイザー 主任

コミュニケーションアドバイス局 コミュニケーションアドバイスチーム富山所属。富山県出身。東京で営業としてのキャリアをスタートする。2015年に富山県へUターン移住し、2020年まで旅館の支配人を務めたという異例の経歴を持つ。2021年に大広北陸に入社後、営業としてのキャリアを再スタート。「得意先担当者を出世させること」を信念に、担当得意先の業務拡大、新規開発に尽力する。家事の分担は朝担当。趣味は音楽と、自然の中で遊ぶこと。

プロジェクトの始まり〜顧客の悩みを理解し、課題を明確化〜

──2022年から始まった本プロジェクトですが、最初にどのような依頼があったのか教えてください。

鹿熊:4社の代表を務める池田社長から「4つの会社を束ねる概念がなく、何をしている会社の集まりなのかがあまり知られていない」との相談がありました。

池田社長が代表を務めるのは「富山いすゞ自動車」「コマツ富山」「呉羽自動車学校」「北日本モーター」。4社とも富山県内に本社を構える自動車関連会社です。当時、それぞれの会社が個別に認知されていて、採用も各社で実施していたため、4社の経営者が同一人物であることすら知らない人が多い状況でした。

どんなことをしている会社のグループなのか、富山県を中心に認知を広め、いずれはグループとして採用を進めていきたいという池田社長の思いを聞き、「グループとして認知を高めること」「今後のグループ採用」を課題に、プロジェクトがスタートしました。

参加者全員が「自分ゴト」として捉えるプロジェクト 顧客の意向を実現

──プロジェクトはどんな段階があったのですか?

鹿熊:プロジェクトが始まってすぐ、グループのブランドサイトは作ろうという話は出ていました。

相談の段階から、グループとしてのブランディングもしっかりやっていきたいとのご意見をいただいていたので、ブランドサイトを作るにあたり「グループの名称」「ロゴ」も必要になるとお話し、提案したアイディアが採択されました。

その後、ブランドサイト、ブランドムービーの制作に入り、2022年12月に公開。続けてWEB広告を実施しました。

広告を運用し始めて、広告視聴者をある程度ブランドサイトへ誘導できる状態になりました。しかし、それだけではサイト内での滞在時間を大幅に延ばすことはできません。

次の段階として、サイト内での滞在時間を長くするため「コンテンツを拡充していきましょう」とお話ししました。その一環として、オウンドメディアをご提案した、という流れです。

大広北陸デジタルアドバイザー鹿熊さん

──尾嶋さんはオウンドメディアの制作から参加されたと聞きましたが、スタートは順調でしたか。

尾嶋:まず、オウンドメディアの提案自体がすんなり採用されたわけではないんです。広告に比べて成果が見えにくく、継続する必要もありますから。

ただ、私たちは社長や各社の皆さんと話し合いをする中で、人の魅力を強く感じたんです。会う人全員が本当にいい人なんですよ。各社、社員ひとりひとりにまで、社長の理念「仕事を愛し、家族を愛し、そして地域を愛する。自動車をもって地域社会に奉仕する」が浸透しているんだなと実感しました 。

だからこそ、人や会社の中が見えるコンテンツを作ることが、IKEDA Groupの魅力を伝えるのに最適だと感じていて。私たちは池田社長のもとへ何度も足を運んで丁寧に説明し、最終的にはオウンドメディアで記事を作っていくことに納得してもらえました。

──オウンドメディアの内容は、誰がどのように決めたのですか。

鹿熊:このプロジェクトでは「人に焦点を当てたい、若手を活躍させたい、会社同士の交流を生みたい」という会長の思いを事前に聞いていたので、はじめに「情報発信を主体的にやっていきましょう!」と提案して、各社内にも編集チームを作ってほしいとお願いしました。

各社から2、3名ずつ選出してもらい、社長、弊社のプロジェクトチームメンバーを合わせ12~20名近くが集まる会議を何度か開き、ディスカッションしながらどんなサイトにしたいかを参加者全員で考えていきました。

──最初の会議では、序盤なかなか意見が出にくい状況だったと聞きました。どのように皆さんの意見を引き出していったのですか。

尾嶋:今まで会社間での交流がほとんどなかったそうで、さらには大人数での会議とあって、意見を出しにくい状況なのだと十分に理解できました。まずは、弊社の検討案を出してから各担当者の意見を聞くなど、私たちからコミュニケーションの活性化を図るよう心がけました。次第に意見が出るようになっていったのですが、それには何よりも、社長の力が大きかったです。

社長が参加者ひとりひとりに質問を投げかけたり、意見を求めていくことで、気づけば会議に参加する全員が発言しやすい空間になっていました。

鹿熊:プロジェクトの課題としてエントリーしてもらいたいというゴールはあるものの、記事制作は「企業価値」や「ストーリー性」を発信していくことを全社共通のテーマに。記事制作に関する細かな部分、文体や定義などは、弊社から積極的に提案して編集方針を定めていきました。

IKEDA Groupは社会を支える事業をしていること、働く人々がいい人ばかりであることは、何物にも代え難い魅力です。中にいるからよく見える部分があるように、外から見て大きな魅力・武器になると感じる部分もたくさん存在します。

そのため、記事の題材を決めるときの主体は各社編集チームの皆さんですが、私たちの意見も伝えるようにしています。その工程があることで、何が発信材料になるのか発見できるとフィードバックをもらって、皆さん積極的に取り組んでいただいていることが私たちにも伝わってきます。

オウンドメディアへのポジティブな反響もあり、ブランドサイトを通して各社の採用サイトへアクセスも増加してきています。

富山県を中心に北陸三県を網羅する広告会社 大広北陸の強み

「チームビルディング」と「運用力」

今回のプロジェクトでいうと、記事の制作は地元情報誌の制作会社に依頼し、ブランドサイトはデザイン会社に、動画は動画制作を専門とする会社に依頼しました。各分野のエキスパートを起用することで、新たなトライをする顧客の皆さんにも安心感を持ってもらえるのではないかと感じています。

多様な選択肢の中から顧客に合った提案をし、各分野の制作会社を含めた適切なチームを構築する「チームビルディング」、全体をコーディネートできる「運用力」が私たちの強みだと思っています。

新たなトライの精度を格段に上げる
最新の情報とネットワークを得られる環境

尾嶋:東京・大阪に本社を構える大広本体から、最新の情報とネットワークにアクセスできる環境が整っているので、幅広い提案が可能です。

ただ、都心部で成功率の高い方法がエリアにもすべて当てはまるとは言えません。得た情報をそのまま落としこむではなく、富山そして北陸の地域性や顧客の個性に合った最適なソリューションを提案します。

──都心部とエリアの広告会社には、どんな違いを感じますか。

尾嶋:都心部の広告会社は、例外はあれど専門性が高く、CMを作る人、デザイナーなどセクショナリズムが強いように感じます。そして、基本的には宣伝の担当者とやり取りをすることが多い。だから、専門用語や認識もすべてが共通認識でのスタートになるんです。

エリアでは宣伝の担当者とやり取りをする方が少ないケースで、社長や技術者など、多岐に渡って知見が広い人と直接やり取りをするケースが多くなる。顧客の思いやニーズを正確に理解するためには、なるべく相手の言語で話せるようにすることが、仕事を進める上で大事だと考えています。

そして、幅広い分野の知識を持って最適なソリューションを提案し、制作サイドへ適切なディレクションを行う。そういった意味で、私たちは「翻訳者」であり「何でも屋」になることが、エリアの広告会社として必要だと思っています。